「今は昔と違い、低価格の新建材が色々あるため竹を使わなくなっています。それで、イノシシが頻繁に出るような地域では竹が低価格で手に入ります。小規模なイノシシ対策をするには打って付けだと考えたのです。」

「この辺りも山際に竹林がたくさんありますね。裏山に見えるのは、渡辺さんの竹林ですか」と町会長。

「そうなんですよ。久しぶりに山に分け入ってみました。まず気がついたのは、イノシシが作ったけもの道ができていることでした。」

「けもの道ができているということは、タケノコは食べないのですね」と町会長。

「子供の頃は食べていましたが、タケノコは陰だということに気がついたので、現在は食べていません。」

「それで、イノシシが代わりに食べているのですか」と町会長。

「おっしゃる通りです。最初に気がついたのはヤブランが密生していたことです。イノシシはミミズを食べるついでにしか、ヤブランを食べないようです。」

「泥浴び場はあったのですか」と町会長。

「よく見ると、2、30はありました。イノシシとしては、自分のテリトリーに侵入されたということですから、遠くから様子をうかがっているのだろうと思いました。」

「イノシシが襲ってくるとは思わなかったのですか」と町会長。

「イノシシは強度の鬱だと分かっているので、逃げさえしなければ、襲うことはないと確信していました。5時くらいで暗くなってしまうのですが、手元が見えなくなっても、山中で作業していたくらいです。」

「どのくらいの太さの竹を使ったのですか」と町会長。

「根元が15センチくらいで、長さが7メートルくらいのものを5本切り出しました。暗くなってしまったので、防御帯にしてある忌避剤入りの湯飲み茶わんを取り除いて、そこに置くだけにしました。」

「忌避剤を取り除いてしまったのですか。どうして、それほど自信があったのですか」と町会長。

「イノシシが砂利を嫌がったためです。野生の動物は、足にけがをすると生命にかかわるのだと推定しました。砂利は、せいぜい、蹄に詰まるだけですが、竹は、足を打ち付けることもあるだろうし、何本か転がっていれば、挟んで折る可能性もあります。5本も転がしておけば、震え上がるだろうと推定しました。イノシシは強い鬱ですからね。」

「それで、予測通りにいったのですか」と町会長。

2019/12/23

※今年はうり坊が成長して立派なイノシシになったので、孟宗竹を切って西側を補強し、庭に入れないようにすることにした。根元が15センチくらいで、長さが7メートルくらいの竹となると、ピノキオ化した僕には一人では運べない。息子と二人でかついだが、それでも足がふらついてしまった。
※竹藪に泥浴び場はなかった。以前僕が攻め込んで竹藪の中を徘徊できないようにしたので、本拠地をどこかにある別の竹やぶに移したようだ。